現状診断の成果物 説明用サンプル
内部統制・J-SOXの「現状診断」でお渡しする文書の形を示すための見本です。
架空のA社を題材にしています。実在の会社・事例ではありません。実際の成果物は、会社の状況に合わせて項目と分量が変わります。
1. 前提
- 題材
- A社(架空)。製造業、上場。連結売上高 約120億円、従業員 約350名。J-SOX対応は上場3年目。
- 診断の範囲
- 全社的な内部統制、決算・財務報告プロセス、販売・購買・在庫の各業務プロセス、IT全般統制。
- 実施方法
- 3点セット・評価調書・前期の監査法人からの指摘事項の閲覧と、経理部・内部監査室・情報システム担当へのヒアリング(3回)。
- お渡しするもの
- この文書(総括、優先度付きの課題リスト、対応方針、工程表)と、報告会(1時間)での説明。
2. 総括
- 文書は一式そろっており、評価も毎期実施されています。土台はあります。
- いちばんの課題は、文書と実務のずれです。承認経路がワークフロー化されたのに、業務記述書は紙の押印を前提にしたままです。評価は「文書どおりか」ではなく「実務が正しいか」を確かめるものなので、ここを直さないと評価の意味が薄れます。
- 次に、評価範囲の根拠と特権IDの管理です。どちらも監査法人から毎期同じ指摘を受けており、今期で区切りをつける価値があります。
- 統制の数は多すぎます。キーコントロールを絞れば、評価の工数は減り、精度は上がります。
3. 課題リスト(優先度付き)
| No. | 領域 | 現状と課題 | 影響 | 優先度 | 対応方針 | 目安 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 1 | 3点セット | 購買の承認が前期からワークフローに変わったが、業務記述書とフローチャートは紙の押印を前提にした記述のまま。RCMの統制の記述も実態と合っていない。 | 評価が実務を確かめていない状態。監査法人の指摘の再発。 | 高 | 購買と決算の2プロセスを先に実態どおりに書き直す。残りは評価の順に更新する。 | 1〜2か月目 |
| 2 | 評価範囲 | 重要な事業拠点の選定根拠(売上高の概ね2/3)の計算資料が前期の数字のまま。勘定科目の選定理由も文書になっていない。 | 範囲の妥当性を監査法人に説明できない。 | 高 | 当期の数字で計算し直し、選定の考え方を1枚にまとめる。毎期の更新手順も決める。 | 1か月目 |
| 3 | IT全般統制 | 会計システムの特権IDの棚卸が年1回。退職者のIDが2件残っていた。 | 不正・誤操作の防止が効かない。不備として指摘される可能性が高い。 | 高 | 退職者IDの即時削除。棚卸を四半期ごとにし、人事の退職連絡と結びつける。 | 1か月目 |
| 4 | 決算・財務報告 | 決算整理仕訳のレビューはExcel上で行われているが、確認した記録が残っていない。 | 統制が「あった」ことを証明できず、運用評価で不備になる。 | 高 | レビューの記録欄(確認者・日付)を仕訳一覧に設け、月次で残す。 | 2か月目 |
| 5 | RCM | 統制が全体で約120個、うちキーコントロールが約70個。重複や、リスクに対応していない統制が含まれる。 | 評価の工数が重く、重要な統制に目が届かない。 | 中 | リスクごとに1〜2個へ絞る案を作り、監査法人に事前に相談してから確定する。 | 2か月目 |
| 6 | 運用評価 | サンプル件数の決め方と、母集団の網羅性の確認が調書に残っていない。 | 評価の結論の根拠を示せない。 | 中 | 統制の頻度ごとの件数の基準を定め、母集団の確認を調書の最初の手順にする。 | 3か月目 |
| 7 | 不備の是正 | 前期に指摘された不備2件が、是正の担当と期限が決まらないまま翌期に持ち越されている。 | 同じ指摘の繰り返し。開示すべき不備に発展する恐れ。 | 中 | 不備ごとに担当・期限・確認方法を一覧にし、月次で進捗を確認する。 | 1か月目から |
| 8 | 文書の管理 | 3点セットの最新版が担当者のPCに保存されており、どれが最新か分かりにくい。 | 更新の漏れ、担当者の異動時の引き継ぎ不能。 | 低 | SharePointに置き場所を一本化し、版の履歴を自動で残す。 | 3か月目 |
優先度は、監査法人への説明に直結するもの、不備になりやすいものを「高」としています。
4. 工程表(3か月)
- 1か月目
- 評価範囲の根拠を当期の数字で整理(No.2)。退職者IDの削除と棚卸の仕組み(No.3)。不備の是正一覧の作成(No.7)。購買・決算の3点セット更新に着手(No.1)。
- 2か月目
- 購買・決算の3点セットを実態どおりに更新(No.1)。決算整理仕訳のレビュー記録の運用開始(No.4)。キーコントロールの絞り込み案を監査法人へ事前相談(No.5)。
- 3か月目
- 更新した文書で整備状況評価を実施。運用評価のサンプル基準を確定(No.6)。文書の置き場所をSharePointに一本化(No.8)。
- 関与の目安
- 月あたりの稼働日数は、会社側の担当者の時間の取り方で変わります。着手前に、範囲と稼働日数をお示しします。
5. 診断のあと
- 社内で進める場合
- この文書をそのまま社内の計画として使っていただけます。診断だけで終えていただいて構いません。
- 継続支援に進む場合
- 必要な範囲だけを設計し、診断料は初月の報酬に充当します。
このサンプルに、実在の会社の数字や事例は含まれていません。